車両用防護柵について
車両用防護柵は高速走行する重車両が衝突しても車両が路外へ逸脱することなく、車両の乗員の安全性が確保されること、車両の衝突後の誘導性能が良好なこと、防護柵そのものも一定以下の変形に留まりかつ衝突時に構成部材が飛散しないこと等々の事柄が、建設省の性能基準として定められています。
車両用防護柵については、平成10年11月に建設省の基準が改訂になり、実車衝突実験を行い道路管理者において所要の性能を満たすことを確認されたものだけが実用に供することができることになっています。
コンクリート製剛性防護柵については、建設省、道路公団、セメント協会、PGF協会が、平成7年から4年間に亘り共同研究として改良および性能確認のため、数多くの実車衝突実験を行って来ました。
その結果、車両総重量25tの大型車を時速100km、衝突角度15度で衝突させた結果、新しい防護柵の設置基準書に示されている所要の性能を満足するものであることが確認され、平成11年3月に建設省より発刊された「車両用防護柵標準仕様書」にコンクリート製剛性防護柵として掲載されました。
PGFとは、プレキャスト・ガードフェンスの略で、道路の中央分離帯、
路肩に設置する交通安全のための車両用防護柵です。
工法
施工にあたっては、ブロックの据付が簡単であり、この作業は他に制限されずに進めることができ、目地へのセメントモルタルの充填とPC鋼材の配置と緊張作業は、ブロックの据付作業に引き続いて併行作業で進めることができます。
このため、新設工事のみならず供用中道路の改良工事においても、施工時間の短縮によるメリットは大きく、これがコストの低減にも寄与しています。
施工時間の短いことは、高架橋や橋梁上の施工において走行車両の安全確保の面からもその意義は大きいと言えます。
特長
当協会が推進しているコンクリート製剛性防護柵の構造上の特徴は、標準長3~5mのプレキャスト・コンクリートブロックの底部を舗装面から10cm下に設置してから、ブロック相互間の目地にセメント・モルタルを充填したのち、天端付近にPC鋼材を配置し、これに所定の緊張力を与えたのち、ブロックの周囲を舗装面の高さまで埋戻しして完成させます。
構造が単純で施工が容易であるうえ、車両用防護柵として優れた性能を具備しております。
このような構造の防護柵は当時欧米においてはみられなかったもので、日本において初めて考案されたものが、今に至っています。
プレキャスト(PGF)工法はコンクリート製剛性防護柵の中で、最も採用されています。
プレストレスを入れると
- 車両衝突時にブロックが弓状に微少変形し、その変形を元に戻す効果があり、弾性的なコンクリート構造として作用します。
- 衝撃力を各ブロックに分散させ、コンクリートのひび割れを防止します。
- ブロック断面を薄くできます。鉄筋コンクリート製の65%に縮小されています。
JIS認定取得工場製品は
- 仕上がりが美しい
- コンクリートが緻密で水密性や耐久性に優れています。
- 品質管理が厳格におこなわれて製作するため、鉄筋のかぶりが正確です。
- 付属物(眩光防止板、埋込式照明装置、デリニエーターなど)が正確に取り付けられます。
短期間で施工でき、ただちに供用できます
- 夜間に施工し、朝には供用させる事例が多いと思います。このような急速施工の箇所に最適です。
- ブロック運搬、設置、ブロック目地施工、PC緊張、と作業が短期間に単純に行うことができます。
曲線半径が小さい箇所でも、施工ができます
- このような箇所は、事故の発生しやすい場所でもあり、安全な防護柵が必要です。
施工実績では、半径50mの高速道路ランプ部に施工しました。 - 3mブロックを曲線に配置し目地の開きで調整、そしてプレストレスを導入し、一連の曲線の連続壁を作ります。折れ曲がったようには見えず、視線誘導も滑らかと好評を得ています。
短区間の施工も得意です
- 事故は急曲線、急勾配等の比較的短い区間に集中する傾向があり、これらの箇所に無理なく対応することが可能です。
上下車線に段差があっても敷設が容易にできます
- 道路の曲線部では、上下線で独自にカントが付き中央分離帯に段差が生ずることがあります。単スロープ断面型を用いることで、段差対応が容易に行えます。
臨時に交通規制用として仮設置し、将来、本設置も可能な構造もあります
- ブロック本体をPC鋼材で緊結、その緊張後の解放も簡単に行えるため、将来の移設に構造性を保持して対応ができます。
橋梁、高架部もプレキャスト防護柵で施工できます
- 床版張り出し部に設置する高欄用防護柵は、ブロック天端をプレストレスで緊結し、床版との下端結合を高強度ボルトで弾性ゴムを介した弾性締結構造としています。
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床版と高欄の衝撃応力を広く分散 させる効果があり、床版に優しい構造となっています。
なお、既設床版での取り替えの場合はアンカー孔を床版部に行い同様に緊結します。
リーズナブルなコスト
- コンクリート製剛性防護柵は、車両用防護柵として優れた性能を有し、施工が簡単容易であるほか、重車両が衝突してもコンクリート面はわずかに傷がつく程度で、残留変位は最大でも1cm以下です。
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補修は全く必要とせず、したがって維持管理費がかからないため、
建設費をも含めたライフサイクルコストでみると極めて経済的な車両用防護柵であると言えます。